本部町字具志堅について
本部町字具志堅は、沖縄島北部・本部町の北東、今帰仁村との境界に位置し、那覇から車で約2時間を要する。人口は、令和元年時点で約430人の小さな自治体である(本部町役場HP「統計から見る町民のくらし」より)。そのうち20%を高齢者とすると、具志堅方言話者数は概数90人ということになる。崎原(2022)では本部町内の諸方言を北部方言群、中央内陸部方言群、中央海岸部方言群、南部方言群の4つに下位分類したが、具志堅方言は北部方言群に分類される。北部方言群の共通の特徴として、動詞「来る」が/sun/と発音されること、ハ行音が/p/であらわれること、/ka//ko/が/ha//hu/であらわれること、/kiが破擦音化して/ci/になることが挙げられる。また、(他の方言は未調査のため)具志堅方言に限って言えば、形態論的には、述語の過去否定形が-(s)an-tanではなく、-(s)an-natan(例 k-an-natan 食べる-NEG-PST)であらわれるという特徴もある。